大阪星光中2019年(平面図形ー★★★★☆☆)
【大阪星光学院中学 2019年度】
~概要~
大阪星光中は難易度が安定している学校ですが、2019年は難しくなっていました。
実際に受験生も苦戦したようで、平均点はかなり下がりました。
受験者平均点が50点、合格者平均点が65点(いずれも100点満点換算)を下回ったのは約10年ぶりです。
[1]の小問集に難問が多かったことが最大の理由でしょう。
本問は、中学受験算数ではあまり出てこないテクニックが必要で、星光志望なら解けなくても大丈夫な問題です。
~解説~
「△AEFの周の長さが最も短くなるように」という条件がキーですね。
この条件の処理の仕方を習得しておかなければならないのはごく一部の最難関校だけでしょう。
まずは、基本問題から考えましょう。
『問.下図の様に、点A・点B・直線ℓがあるとき、ACの長さ+BCの長さが最も短くなる様な点Cの位置を求めなさい。』
もう少し算数的な問題に作り替えるとするならば、
『問.A君が自分の家を出発して、ℓ川で水をくんでからB君の家に向かいます。最も早く着くには、川のどの地点で水をくめばよいでしょうか。』
といった感じでしょうか。水をくんだ後は重くて大変だから、というへ理屈は無しにして下さいね。
それではこの問題の解法です。
『①:直線ℓに関して点Aと対称な点A'をとる。』
「直線ℓに関して点Aと対称な点」とは、直線ℓを折り目として折ったときに点Aがいく場所のことです。
具体的には上図の様に、
・AOの長さ=A'Oの長さ
・直線ℓと直線AA'が直角
になる様な点のことですね。次に、
『②:点A'と点Bを結ぶ。』
『③:直線ℓと直線A'Bが交わる点が点C。』
理屈も紹介しておきましょう。
△AOCと△A'OCに着目します。
点A’は直線ℓに関して点Aと対称になるようにとったので、
AO=A'O
∠AOC=∠A'OC
でしたね。
また、点Cを直線ℓ上のどこにとったとしても、△AOCのOCの長さと△A'OCのOCの長さは等しいですね。
よって、この2つの三角形は、『2つの辺の長さとその間の角の大きさが等しい』ので合同になります。(この、三角形の合同条件は中学受験算数でも最難関校志望なら必須項目です。)
ということは、点Cをどこにとったとしても、
ACの長さ=A'Cの長さ
になります。
つまり、「AC+BCを最も短くする」というこの問題は、「A'C+BCを最も短くする」という問題に置き換えられるということですね。
A'C+BCが最も短くなるのは直線A'Cと直線BCが一直線になるときなので、直線ℓと直線A'Bの交わる点をCとするときがA’C+BC(=AC+BC)が最も短くなるというわけです。
それでは本問の解説に入りましょう。
本問では、△AEFの周の長さを短くしなければなりませんが、AEの長さは固定されているので、AFの長さ+EFの長さが最も短くなるように点Fの場所を決めればよいですね。
基本問題のときと同じように、
①:辺CDに関して点Aと対称な点A'をとる。
②:点A'と点Eを結ぶ。
③:直線A'Eと辺CDの交わる点を点Fとする。
④:点Aと点Fを結ぶ。
このとき、DA'とECは平行なので、△A'DFと△ECFは相似になりますね。
その相似比は、
A'D:EC=15cm:10cm=3:2
よって、
DF:CF=3:2
なので、
DF=9cm、FC=6cm
と求めることができます。
後は、△AEFの面積を求めるだけですね。
もちろん、△AEFの面積を直接三角形の面積の公式から求めることはできないので、正方形ABCDの面積から余分なものを引いて求めます。
15cm×15cm=225㎠・・・正方形ABCD
5cm×15cm÷2=37.5㎠・・・△ABE
10cm×6cm÷2=30㎠・・・△ECF
9cm×15cm÷2=67.5㎠・・・△ADF
225㎠ー(37.5㎠+30㎠+67.5㎠)=90㎠
重要度【★★☆☆☆☆】
難易度【★★★★☆☆】
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