東大寺中2017年(平面図形ー★★★★☆☆)
【東大寺学園中学 2017年度】
~解説~
このままの形で2か所の面積をそれぞれ求めて足す、という作戦が無理なことはすぐに分りますね。
となれば次に考えるのは、全体から余分な部分の面積を引く、という作戦です。しかしこれも、白い部分の面積を求められそうにないことは明らかです。
そこで、『等積変形』をして求められそうな形に作り替える、という作戦で攻めることになります。
具体的には、㋐と㋒をなんとかする、ということです。
㋑㋓の様な弧の絡む形の面積は、おうぎ形から三角形を引いて求める以外の方法はあり得ませんからね。
まずは、等積変形の基本を確認しておきましょう。
上図の様に、直線ℓと直線mが平行であるとき、△ABCと△ABDは面積が等しくなります。
底辺ABの長さが同じなのはもちろんのこと、ℓとmが平行なら高さも同じになるからですね。
このことから、「△ABCは、頂点Cを、底辺に平行な線上で左右に動かしても面積は変わらない」ということが言えます。これが等積変形の基本です。
(また、△ACEと△BDEの面積も等しくなり、これを使う難問も在ります。)
それでは本問に戻りましょう。
円や弧の絡む図形の問題では、円やおうぎ形の中心を通る線を引くのが鉄則です。
「半径はどこでも長さが等しい」という性質がポイントになる問題がほとんどだからですね。
さて、等積変形をするためには『平行線』の発見がポイントになります。
そのために、まずは角度について考えていきましょう。
点C,D,E,Fは半円を5等分しているので、
∠AOC=∠COD=・・・=180°÷5=36°
さらに、点Cと点D、点Dと点Eなども結びましょう。
こうして出来た△OACや△OEFなどは全て2辺が半径で出来ているので二等辺三角形になりますね。
よって、
∠OAC=∠OCA=∠OCD=・・・=(180°ー36°)÷2=72°
また、△OAEもOA=OE(=半径)なので二等辺三角形です。
よって、
∠OEA=(180°ー36°×3)÷2=36°
以上から、∠OEA=∠EOEとなり錯角が等しくなっているので、AEとOFが平行であることが分かりました。
△AEFと△AEOは面積が同じになるので、㋐(△AEF)の面積を求める代わりに△AEOの面積を求めてもよい、ということです。
1つ前の図に戻って、
∠OED=72°
∠EOB=72°
なので、DEとABも錯角が等しく、平行であることが分かります。
よって、△AOEと△AODも面積が同じです。
以上から、
㋐(△AEF)の面積=△AODの面積
となるので、
㋐+㋒の面積=四角形AODCの面積
となります。
㋑の面積は、弧ACと弦ACに囲まれる場所の面積と同じなので、求める面積㋐+㋑+㋒+㋓は、おうぎ形OADの面積と等しいことになります。
5×5×3.14×(72/360)=15.7㎠
重要度【★★★☆☆☆】
難易度【★★★★☆☆】
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