中学受験算数の良問・難問・基本問題

プロ家庭教師が中学入試の算数の問題とその解法を紹介していきます。

海陽中2012年(論理問題ー★★★☆☆☆)

海陽中等教育学校 2012年度 特別給費生入試】

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~解説~

(1)

規則をきちんと読み取ることさえ出来れば解けますね。

大きな数を作るには、足し算ばかりで全ての数字を使えばよいので、

1+2+4+15=22

 

(2)

7は色々と試してみて見つけ出しましょう。

足し算だけで作れるので、すぐに見つかるでしょう。

7=1+2+4 

 

8も同様に、気合いで探してもOKです。

パターン数は知れているので、そう苦労はしないでしょう。

ただし、使える数字の中の「15」と、先ほど作った「7」に着目すると、論理的に導き出すことが可能です。

つまり、7+8=15であるので、

8=15-7

 =15-(1+2+4)

 =15-1-2-4

 

(3)

とりあえずは、1から順番にいくつか作っていきましょう。

1=1

 =2-1

 =4-1-2

2=2

 =4-2

3=1+2

 =4-1

 =4+1-2

4=4

5=1+4

 =2+4-1

6=2+4 

7=1+2+4

「1」,「2」,「4」の3つの数字を使って作れるのはここまでです。 

1~7で、2通りの作り方がある数は、2と5だけです。

 

この後、22((1)で求めた最大数)まで気合いで求めるのは、試験の制限時間を考慮すると少し不安(数分で求められるぐらいの計算力が備わっていることが望ましいですが)ですね。

ここで、(2)と同様に「15」に着目してみましょう。

8以降の数字は、「1」「2」「4」の3つの数字からは作れません。

よって、「15」を必ず使うことになります。

つまり、8~14は、15から何らかの数字を引いて作るということです。

8=15-7=15-(1+2+4)=15-1-2-4

9=15-6=15-(2+4)=15-2-4

10=15-5=15-(1+4)=15-1-4

  =15-5=15-(2+4-1)=15+1-2-4

11=15-4

12=15-3=15-(1+2)=15-1-2

  =15-3=15-(4-1)=15+1-4

  =15-3=15-(4+1-2)= 15-1+2-4

13=15-2

  =15-2=15-(4-2)=15+2-4

14=15-1

  =15-1=15-(2-1)=15+1-2

  =15-1=15-(4-1-2)=15+1+2-4

確認のため全パターンを書き並べましたが、8~14 で2通りの作り方があるのは10と13だけですね。

これは、1~7では2と5しか無かったので、8~14では15から2を引いて作る13と、15から5を引いて作る10だけだということです。

 

この後、

15=15

と、15は1通りしか作れません。

 

16~22は、15に1~7を足して作ることになります。

よって、15に、2通りの作り方がある2と5を足した17と20だけが2通りの作り方があることになります。

 

以上から、2,5,10,13,17,20

 

(4)

最大数は4つの数の和なので、できるだけ大きな数まで作るには、材料の4つの数をできるだけ大きくすればよいですね。

 

1を作るために「1」は必要です。

 

2を作るためには「2」があれば手っ取り早いですが、できるだけ大きな数を使いたいので、2=「3」-「1」で作る方がよいですね。

「1」と「3」があれば、

1=「1」

2=「3」-「1」

3=「3」

4=「1」+「3」

と、1~4の全ての数を作ることが出来ます。

 

5を作るためには「5」があれば手っ取り早いですが、できるだけ大きな数を使いたいので、5=9-4で作る方がよいですね。

同様に、6,7,8は9から3,2,1を引くと作ることが出来ます。

また、当然9は「9」で作れますし、10,11,12,13は9に1,2,3,4を足すと作ることが出来ます。

ここで、1~4は全て「1」と「3」で作れることはすでに確認済みであることがポイントです。

よって、

5=9-4=「9」-(「1」+「3」)=「9」-「1」-「3」

6=9-3=「9」-「3」

7=9-2=「9」-(「3」-「1」)=「9」-「3」+「1」

8=9-1=「9」-「1」

9=「9」

10=9+1=「9」+「1」

11=9+2=「9」+(「3」-「1」)=「9」+「3」-「1」

12=9+3=「9」+「3」

13=9+4=「9」+(「1」+「3」)=「9」+「1」+「3」

つまり、「1」と「3」と「9」があれば、1~13の全ての数を作ることが出来るということです。

 

14を作るためには、27から13を引いて作るのがベストですね。

同様に、今までに作った1~13を利用して、27から1~13を引いて14~26を作ります。

当然、27は「27」で作れますし、28~40は27に1~13を足すと作ることができます。

よって、「1」「3」「9」「27」があれば、1~40の全ての数を作ることができるということです。

 

 

(1)

重要度【★★★★★★】

難易度【★☆☆☆☆☆】

(2)

重要度【★★★★★★】

難易度【★★☆☆☆☆】

(3)

重要度【★★★★☆☆】

難易度【★★★☆☆☆】

(4)

重要度【★★☆☆☆☆】

難易度【★★★★☆☆】

 

ちなみにこれ以降は、「81」があれば41~80は81から1~40を引いて、82~121は81に1~40を足して作ることができ、「243」があれば122~242は243から1~121を引いて・・・となります。

よって、

「1」「3」「9」「27」「81」「243」・・・ 

という、1から始まる[×3]の等比数列の数があれば、全ての整数を作れるというわけですね。

 

本問の基本バージョンである、「+」だけを使って数字を作る問題は、

「1」「2」「4」「8」「16」・・・

という、1から始まる[×2]の等比数列の数があれば、全ての数を作ることができます。

1=「1」

2=「2」

3=「1」+「2」

4=「4」

5=「1」+「4」

6=「2」+「4」

7=「1」+「2」+「4」

と、「1」「2」「4」があれば1~7は全て作ることができ、9~15は8に1~7を足すことで作れ、17~31は16に1~15を足し・・・となるからです。

 

この問題は、算数パズルでは有名な問題です。

基本バージョンである、「+」だけを使って数字を作る問題は、

『てんびんで重さを量ることを考えます。全ての整数gの重さを量れる様にしておくとき、用意する分銅を出来るだけ少なくするにはどのような分銅を用意すればよいでしょう』

という問題と本質的には同じことです。

答えは上で示した通り、『1g、2g、4g、8g、16g・・・』となります。

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上図の様に、

1+4=5

というのは、1gの分銅と4gの分銅を使えば、5gの物体を量ることができるということです。

 

それでは本問の、「+」と「-」の両方を使えるバージョンは一体何を意味しているのでしょうか。

実は本問も同じ様に、てんびんの分銅問題を意味しています。

てんびんの分銅問題において、引き算で数字を作るというのはどういうことでしょうか。

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上図の様に、

6=9-3

というのは、9gの分銅をてんびんの左の皿に、3gの分銅と量りたい物体を右の皿に置いた状態を意味しています。

答えは、本問の(4)で示した通り、『1g、3g、9g、27g・・・』となります。

 

まとめると、

・「+」だけで数字を作る問題は、てんびんの分銅問題の、左の皿にしか分銅を置いてはいけないバージョン

・「+」と「-」を使って数字を作る問題は、てんびんの分銅問題の、両方の皿に分銅を置けるバージョン

ということです。

 

 

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